出身者からのメッセージ

■庵 智幸(2021年3月博士後期課程修了,大阪大学助教)

学部時代には他研究室でシステム理論に関連した卒業研究を行いました.その中で定理の証明など理論面を掘り下げていくうちに代数学が面白いと思うようになりました.当時は大学院修了後に企業への就職を考えていたため,それまでの修士課程2年間は大学でしかできないような数学を活かす研究がしたいと思って選んだのが大塚研究室でした.その後,研究の面白さにはまって博士後期課程まで進みました.

大学院では,代数学をベースに数式処理と数値計算を併用して制御アルゴリズムを効率化・高精度化したり,代数幾何学の視点からペナルティ関数法の極限操作を厳密に扱う新しい方法を導出したりしました.他の学生とは毛色の違う研究テーマでしたが,研究室内のミーティングを通じて学生どうしで互いの研究を把握し議論しながら進められたことが非常に励みになりました.研究に関することはどこまでも手厚くサポートしてもらえるとともに,研究の進め方やプライベートについては自由にできたのが自分には合っていました.気が向けば学生同士で遊びに出かけ,かといって無理をして周囲に合わせる必要もなく,快適でした.

大学での研究は,学位のために必要ということもありますが,研究そのものの楽しさを知ることもとても大切だと思います.大塚研究室では先生方が研究を楽しんでいることが伝わってきて,それにつられて学生達のモチベーションも上がります.講義や試験で与えられた課題を解くのとは違う,自身の興味関心をとことん追求する研究の楽しさを知りたい人にぜひお勧めします.

■岡田 悠河(2020年3月修士課程修了,トヨタ自動車)

学部時代の学生実験をきっかけとして制御工学に興味を持ち,卒研配属の際,ドローンやロボットなどさまざまな機械システムの制御に取り組んでいる大塚研究室を選びました.卒研から修士修了まで,浮体式洋上風力発電施設の制御に海上技術安全研究所と共同で取り組みました.新しい数学モデルに基づく非線形モデル予測制御を提案し,その制御性能を精密なシミュレータで確認しました.

研究を通じて,最先端の制御手法はもちろんのこと,流体や構造も含めた工学の広い分野を学ぶことができました.また,研究室ではさまざまな制御の実応用とともに数学的な制御理論も研究されており,輪講も活発に実施されていましたので,制御について広く深く学ぶことができました.研究の進め方について自由度が高かった点もとても良かったですし,留学生や博士後期課程の先輩をはじめとする多様で優秀な仲間から刺激を受け,豊富なソフトウェアと実験装置が自由に使えるすばらしい環境でした.さらに,国際会議発表や英文ジャーナル論文執筆では大塚先生からしっかりサポートしていただきました.英文作成の訓練は社会人になってからも海外との連携で役立っています.

大塚研究室は制御工学について広く深く学べる環境です.先生方も優しく時に厳しく豊富な専門知識でサポートしてくれます.制御工学に興味のある人に強くお勧めします.

■湯野 剛史 (2015年3月博士後期課程(大阪大学)修了,九州大学助教)

他大学での学部生時代に機械工学を学ぶ中で,制御工学と数学への興味が強まりました.数学の中でもとくに代数学を面白いと感じ,代数学を使った制御理論を追究したいと思うようになりました.そして,そのような研究ができる研究室を探した結果,当時,大阪大学にあった大塚研究室に進学しました.

大学院では,可換環論など代数学の手法を使って解ける制御の問題を見つける,という研究を行い,博士号を取得しました.大塚研究室では自分の興味に従って自由に研究することができました.大塚先生には,自分独自の着想を追究するよう励ましていただき,それと同時にほどよい軌道修正もしていただきました.

現在,自分自身が教員となって学生を指導する際にも,学生とのミーティングのあり方などいろいろな場面で大塚研究室での経験が役立っています.自分の興味をとことん追究しつつ成長していける環境だと思いますので,これから進学する皆さんにもその環境を活かしてほしいと思います.


※所属は寄稿時のものです.